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【2020年版】よく聴いたアルバム・5選


すっかりサブスク(Apple Music)がメインのリスニング環境になっていることもあり、色々と新しい音楽に出会えた1年でしたが、結論から書いてしまうととにかくHIMEHINAとBUCK-TICKのアルバムを聴いた1年でした。ずっと聴いていたし、なんなら今年に入ってもまだ全然聴いてる。あとは主にシンセウェイブを聴いていたという感じです。
楽曲単位での再生やサービスサイドで用意されたプレイリストでの再生が多くなる昨今ですが、やっぱりアルバムを一枚通して聴いたときに得られる熱量がすごく好きですね。

5位:THE THIRD SUMMER OF LOVE / ラブリーサマーちゃん


2020年9月発売。エレクトロっぽい曲の人だと思ったら、突然意味がわからないくらい濃厚なUKギターロックのアルバムを出してきてびっくり。
M2「More Light」、M4「I Told You A Lie」などで聴けるギリギリアウトくらいの下世話なギターリフとエグい音色がハマっていて格好いいです。



4位:C / minus(-)


2019年12月発売。ひたすら上質で陰鬱な「俺の好きなフジマキサウンド」が鳴っているアルバム。前作までの無軌道・無国籍なアルバムも大好きなんですが、See-Sawとかアンインストールの石川智晶さんがフィーチャリングされることでじっとりとした和の気配に(褒めている)落とし込まれています。睡蓮が刺さってたけどminus(-)はピンと来なかった、というかたも是非聴いてほしい。
全編めちゃくちゃに暗いので、聴くときの気分を選ぶのが難点といえば難点。



3位:Atlas / FM-84


2016年4月発売。FM-84 というSynthwaveの大御所の代表作。なんでいままで聴いてなかったんだろ…。
M1のイントロの一音目のドラムからもう大好き。全編浮遊感あるキャッチ―で切ない、それでいてカラっとしたハイファイなシンセウェイブサウンドが炸裂しています。ボーカルをフィーチャーしたM2「Running in the Night」は名曲。超気持ちいいです。
Synthwaveは他ジャンルにクロスオーバーして行かないほうが好き。



2位:ABRACADABRA / BUCK-TICK


2020年9月発売。人によっていろいろな「BUCK-TICK像」があると思うんですが、今作は本当に久々に「俺の好きなBUCK-TICKサウンド」が全開になっていて、個人的にはこの十数年で文句なくいちばん好きなアルバムでした。
流れが完璧で超好き。SEから始まって「ケセラセラエレジー」「URAHARA-JUKU」「SOPHIA DREAM」の頭3曲で完全にヤラレるし、「Villain」はキレキレに狂ってるし、中盤の「ダンス天国」とかは訳わからんし、シングル2曲が暴力的にエレクトロ化して終盤の起爆剤として惜しげもなく使われてるし、「MOONLIGHT ESCAPE」は悲痛な力強さが恐ろしく綺麗なんですが、なによりラスト2曲の「ユリイカ」と「忘却」が物凄くいい。先行配信された「ユリイカ」を初めて聴いたとき思わず泣いてしまったくらいなんですが、もう強烈に優しいんですよね。BUCK-TICKが。すべての世界と人類にめちゃくちゃ優しい。突き抜けた曲調で「LOVE!」って叫んでるだけなのに、とてつもない愛を感じます。そんなにも優しいのに、さらにその後に続く「忘却」ではこの世の苦しみや恐怖や何もかもを包み込んで浄化してくれるので、もうこれは宇宙だろ…。こんな世の中になってしまったけれど肯定してみても大丈夫、すべて忘れ去られて行けばいいのだからとフラットな気持ちにさせてくれる。神聖な空気感に満ちた間奏のシンセと、強烈にシンプルなアウトロのギターフレーズがBUCK-TICKの凄さを物語っています。
繰り返し再生して一曲目のSEに回帰する流れもいい。SEがユリイカなんだと気づいてまた感動するというね。超名盤です。



1位:藍の華 / HIMEHINA


2020年4月発売。田中ヒメと鈴木ヒナからなるVTuberユニット「ヒメヒナ」の1stアルバム。
はくあさんに「この曲いいよ」と教えてもらった「ヒバリ」が強烈に耳に残ったのがきっかけで聴き始め、曲だけでなくVTuberとしての活動を含めすっかりファンになってしまいました。この人たち物凄いストイックなんだもん。

まず単純にVTuberのプロジェクトとしてバランスが絶妙で、中毒性が異常に高いです。
普段の賑やかでかわいくもアホアホな動画から一転、確かな歌唱力と質の高い楽曲、歌詞から垣間見える二人の生い立ち設定のシリアスさなど、「歌」にスイッチしたときのギャップと切れ味の鋭さが半端じゃない。
田中と鈴木の歌唱力のバランスも良くて、全体に田中の圧倒的な歌唱力が光るんですが、それを踏まえた上で支える鈴木の歌の健気さがまたたまらなくて、そういうすべてのバランスがいちいちツボってしまいます。
謎技術満載の超ハイクオリティなMVを初め、確かな技術に裏打ちされていながらも商業臭を感じさせない、職人気質な運営のスタンスもいい。なんていうか、楽しんで一所懸命やってる感じが伝わってくるんだよね。ものを作る人間として単純に尊敬できるし、本当に凄いプロジェクトだと思います。

さておきアルバムのほうですが、前述の通り一貫して楽曲のクオリティが高いです。バンドサウンドを中心にエレクトロに寄った曲もある、というラインナップで、インタールードとして二人の何気ない会話が要所に挿入されているという構成。
シンプルなエレキギターのループで構成されたメランコリックな「約束の血」からアルバムオリジナルのタイトル曲で直球のドライブナンバー「藍の華」、エレクトロな四つ打ちナンバーだったデビュー曲をまさかのロックアレンジで爆上げしてくる「ヒトガタRock」、そして超良質なメロディラインが圧巻のキラーチューン「ヒバリ」と、アルバム序盤の畳みかけるような構成がめちゃくちゃいい。初めて聴いた時の「なんだこれ、なんなのこいつら?!」というインパクトは忘れられません。
中盤以降もダークな世界観とスタイリッシュなリズムが印象的な「琥珀の身体」や、突き抜けるさわやかな曲調と裏腹に悲哀に満ちた歌詞が切なすぎる「うたかたよいかないで」、それらを昇華してなおどこまでも優しい「ララ」などトーンダウンすることなく進み、ラストの壮大な「My Dear」まで駆け抜けます。結構びっくりするくらいいろんな感情を揺さぶられて、聴き終わるころにはヒメヒナが大好きになってしまっている。
いい曲なんだ単純に。
制作陣も含めた彼女たちの「衝動」がめちゃくちゃに詰まっていて、何度も繰り返し聴きたくなる、そんな超名盤でした。出会えて良かったです。



おわりに

冒頭に書いた通りですが、2021年に入ったいまもHIMEHINAとBUCK-TICKのアルバムは引き続きパワープレイしています。熱量と文字数が比例していることからもおわかり頂けたと思いますが、どちらもここ数年まれに見る名盤だったので思わず記事にした次第です。
本当は10選でベスト10にしたほうが収まりが良かったんですが、この2枚に相当の熱量を持っていかれてしまったため、思い入れを持って記事にできる気がしなかったので5選となりました。
では今年も素敵な音楽と出会えることを祈って。

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