どれ程の必要が。

バンドマンでモバイラなBlog

Fire HD 10をノートPCライクに使う


10月のプライムデーでAmazonのタブレット「Fire HD 10 (2019)」を買いました。単なるタブレットとしてではなく、「キーボードとの組み合わせでノートPCのように使う」ことが目的です。
いま流行りのChromebookのように、WEBブラウザとテキスト主体の軽作業であれば個人的には「かなり使える」と感じましたので、ノートPCとして使うための準備や設定等のもろもろを備忘録として残しておきます。

 購入に至った経緯

長らく愛用してきたThinkPad X1 Tabletが不調でPCを買い替えたんですが、数億年ぶりにデスクトップ機を購入したので持ち出し用の端末がなくなってしまった、というのが事の発端です。メインの制作はPCで、CPUパワーが必要なゲームはスマホでやるため、手軽に持ち出せるサブモバイル機が欲しいと思っていました。

「10インチくらいの2in1使いできる機種で、テキストベースの軽作業ができればOK」という条件で色々見繕っていたんですが、できれば1万円台で収めたい。それでいてやりたいことが大体できそうな機種はないかと探して、結局安定のFireタブレットに行き着きました。折しもプライムデーで、Fire HD 10が9,980円。最高。


定価でも15,980円と激安です。
この価格帯だとAndroidのチャイナタブレットが選択肢に入ってくるんですが、大抵「電源入るかな?」とか「スリープ時のバッテリーお漏らし酷いな…」とか「Wi-Fi拾わない!」みたいな次元からスタートになるんですよね。それはそれで割り切れば楽しいものなんですが、今回は面倒抜きに実用したいのでパス。Fireタブレットはそのあたりの基本的な挙動が信頼に足るものなので安心です。

ちなみにFireタブレットの購入は今回で3台目。これまでFire HD 6 (2014)、Fire HD 8 (2018)と使ってきていて、基本的な使い勝手やメリット・デメリットについては把握しています。

尚、用途的には無印iPadかIdeaPad Duet Chromebookがベストっぽかったんですが、自分にとってのサブモバイル機は「あったら便利」くらいのポジションなので、4万円近くする両機はちょっとお高く感じてしまい、今回はスルーしました。機会があれば(もしくはお金が無限にあれば)試してみたいですね。

目的は「ノートPCっぽく使う」こと

純粋にタブレットが欲しいと考えたら8インチくらいがベストだと思うんですが、今回は初めから持ち出し用のノートPCライクな用途を想定していたので、Fire HD 10を選びました。10インチというサイズは持ち出し用のタブレットとして考えるとでかすぎるんですが、ノートPCとして捉えると小さく見えてくるから不思議なものです。

Fire HD 10は2017、2019と2年置きに新しくなっているので、2020年も終盤に差し掛かったタイミングで買うのはちょっと躊躇する気持ちもあったんですが、プライムデーで安くなっていたのを見て迷いが消えました。めちゃくちゃ安いんだもん。

そういう訳でここからは、Fire HD 10を2in1的に使うためのカスタマイズを紹介していきたいと思います。とはいえ最近はもう面倒なことはやりたくなくて、Root取るとかADB通すとかの手間が必要な作業はナシの方向で行きます。極力簡単に行きたい。こういうところ、なんか年取ったな…と感じてしまいます…。

何はなくともキーボード&ケース

2in1のPCスタイルで使うためにはキーボードと、Fireを自立させるスタンドが必要です。
まずはキーボード。
以前Amazonで購入した「FGS」という中華メーカーのBluetoothキーボードが家に転がっていたのでこれを利用しました。


microUSBで充電するタイプで、自分の使い方だと一度の充電で2~3週間は動いてくれます。
キーピッチはさすがにやや狭いですが打鍵感は悪くありません。一般的なショートカットキーも使える。地味に重宝するのがShift+十字キーによるテキスト選択ですね。Androidに限らず、タッチパネル端末はテキスト選択がストレスなのでこれはありがたいです。
タッチパッドも普通に使えます。こちらも快適とはいかないまでも、通常のブラウジングやテキスト作成には問題なく使えるレベル。
ペアリングもすぐにできますし、使う時だけオンにすればすぐに繋がってくれて、安いのになかなか頼もしいです。
これはキーボードではなくアプリ側の問題ですが、アプリによってはポインターだと押せないボタンがあったりするので注意が必要です。そこは素直に画面タッチしていくしかありません。
あとここまで書いてから思い出しましたが、これ英字キーボードです。自分はもうずっと英字キーボード派なので何ら問題ないですが、キートップのプリント通りに入力できないと気持ち悪い、という人はこれ向かないですね…。別のやつ探してください。

さてスタンドの方ですが、今回は持ち運びが前提なので、本体の保護も兼ねるということで所謂風呂フタケースを選択しました。

純正ではなく、Amazonでこちらの安価なものを購入しています。
同じメーカーのものをFire HD 8の時にも購入しましたが、見た目も強度もまったく問題ありません。マグネットで開閉時のオンオフにもきちんと対応しています。素晴らしい。

 

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合わせるとこんな感じになります。見てくれこのビジュアル。普通に2in1のモバイルノートPCですね。

ちなみにこういうケースとキーボードが一体になっているものも売っていて、使ってみたこともあるんですが、かなり分厚くなってしまうので今回はパスしています。

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重量を計ってみました。ケースとキーボードを合わせても991gと1kgを切っています。
比べるものでもないかも知れませんが、人気のIdeaPad Duet Chromebookが公称値920gなので、なかなかいい勝負なんじゃないでしょうか。

尚、USB端子はホスト機能を備えていますので、Type-C対応のハブをひとつ買っておくと良いと思います。自分はELECOMのこれを買いました。FireのUSBは2.0なので、安いやつでOKです。

Google Playを導入

ただのメディアタブレットとして使うわけではないので、やはり色々とアプリを入れたいところ。
Amazonのアプリストアは極めて貧弱なので、今回もGoogle Playを導入したいと思います。
いつもFire愛に溢れる「有限工房」さまのページがとても詳しいです。

ygkb.jp

こちらを参考にGoogle Playを導入します。
AmazonがRoot化は塞いでもPlayストア導入を塞がないのは意図的なんでしょうかね…。我々エンドユーザーからすればありがたい話でしかないので、使えるうちは使わせてもらいましょう。このカスタマイズは自己責任となりますのでご承知おきください。

ブラウザアプリの導入

さて、ここからが本題。
いまChromebookが売れているのは、主に「PCと同じフルブラウザが使える」というメリットがあるからだと思うんですが、そういう理由であれば、実はFireタブレットでもある程度は同じことが出来てしまいます。
といっても特別難しいカスタマイズは必要なくて、単に「PC画面表示に対応したブラウザアプリを使う」というだけです。

Playストアで検索するとPC画面表示が可能なブラウザがたくさん出てきますので、好きなものをダウンロードしましょう。
自分は今回「長く使っていて親しみがある」という理由でOperaを選択してみました。

play.google.com


同じようなことができるブラウザアプリは他にもあると思います。
お好みで探してみてください。

尚、残念ながらAndroid版のChromeはPC画面表示こそできるものの、新しくタブを開くといちいちモバイル表示に戻ってしまう仕様のため、今回の用途では使えません。Chromebookとの差別化を図るために敢えてこのような仕様になっているのかもしれませんね。
PC表示を固定化する設定を編み出している強者もWEBで見かけましたが、ADBからの操作が必要など手順が煩雑そうでしたので、今回はパスすることにします。

さて、実際にOperaでPC画面表示してみましょう。特に難しいことはなく、メニューから「デスクトップサイト」のスイッチをオンにするだけです。簡単にPC表示されます。

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Amazonのトップを表示してみたところ。レイアウトが崩れることなく、きちんとPC表示されていますね。

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同じくYouTube。レイアウトはもちろん、再生も問題ありません。全画面表示やボリュームの調整の操作も行えます。綺麗な液晶と相まってなかなか快適です。
※本記事とはまったく関係ありませんが、VTuberユニットのHIMEHINAを応援しています。音楽に対する取り組みのストイックさ、シリアスな世界観の楽曲と、普段の可愛くて面白い動画とのギャップが魅力です。超おすすめ。

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メインのCMSとして便利に使わせてもらっているはてなブログ。こちらも問題なく記事の作成が行えました。
というか、このブログ記事もFire HD 10で作成しています。

WEBアプリの挙動も確認していきます。
まずはGoogleドキュメントとスプレッドシート。

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これは明らかにストアアプリよりもいい。アプリからでは設定できない項目もフルで扱えます。
ファイルのアップロードに関してはGoogle Driveアプリ経由の方がスムーズでしたので、アプリとWEBを使い分けるのがいいと思いました。

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ブラウザがDAWになるBandlab。MIDI打ち込みやオーディオのループ素材を使った制作が行えました。音ももちろん出ています。アプリの方は様々なジャンルが用意されたインスタントなルーパーが使えるので、そっちのほうが面白いかも知れない。MIDIキーボードを繋げば演奏もできますが、遅延が大きいのでリアルタイム演奏には向きません。

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ブラウザでPhotoshopライクな編集が行えるPixlr。細かな操作はしづらいですが、きちんとレイヤーの分かれた画像データが扱えました。無料で使えるストックフォトも充実していて、かなり使えるサイトです。

こんな感じで、かなり(というか確認した限りではすべて)のWEBページがPC同様に問題なく動作することがわかりました。
これだけできれば「ブラウザで出来ることはだいたい出来る」と言ってしまってもいいんじゃないでしょうか。

その他のアプリについて

ブラウザ以外にも、PCライクに使う上でインストールしたアプリを挙げておきます。

1.画面回転制御アプリ

play.google.com

これは画面の向きが固定されたアプリを、強制的に任意の向きにするというもの。
スマホ向けのアプリで多いんですが、横画面で使っているときに特定のアプリだけ急
に縦表示になってしまうことがあるんですね。
そういう時にこのアプリを起動しておけば、首を曲げながら操作せずに済みます。
自分はPlayストアで適当に目に入ったこのアプリを常用していますが、きちんと固定できていて使い勝手は良好です。

2.リモートデスクトップアプリ

play.google.com

これも色々ありますが、自分はGoogleの「Chrome Remote Desktop」を使っています。
これはPC版Chromeの拡張機能で、拡張機能を入れたPCの画面をアプリからリモート共
有できるというものです。
FireタブレットからWindows PCにアクセスできます。遅延があるものの、音声も同期されてくる。
入力周りに難があり、リモート越しに日本語が入力できないのがネックですが、単純なファイル操作などは問題なくできますので、自宅PCを立ち上げておけば出先で急にデータが必要になった場合などでも対応できるでしょう。

3.Google 日本語入力

play.google.com

GoogleのIME(文字入力)アプリ。
Bluetoothキーボードと組み合わせた時の快適さはAmazon標準のIMEとは別次元で、10倍くらい使いやすくなります。これは入れておいて間違いないでしょう。かなりWindowsライクに文字入力できるようになります。
Gboardに統合されるからアップデートしてね!とたびたびアラートが出てくるんですが、Gboardは半角/全角キーでの日本語/英語入力切換に対応しておらず、現状はこちらのGoogle日本語入力がベストです。マジで統合するならGboardの挙動を直してからにしてくれ…。

4.Audio Evolution Mobile

play.google.com個人的に推しているAndroid用のDAWアプリ。
周りで使っている人を他に見かけたことがないんですが、基本的な打ち込み、オーディオ録音に対応している優れたDAWアプリです。
メーカーオリジナルのオーディオドライバが本当によくできていて、オーディオインターフェースを繋ぐとFireのスペックでも遅延なく音が出せてしまいます。オーディオ録音も、MIDIキーボードを繋いでのリアルタイム演奏もOK。Androidはどうしてもレイテンシーが生じるものという認識があると思いますが、このアプリに関しては問題ありません。凄い。

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インターフェース側が対応していればオーディオのマルチ出力もできるので、簡単なライブのオケ出しはこれでやれてしまいます。最近CubasisがAndroidにも来ましたが、あちらはマルチ出力ができないんですよね。
積んでいる音源はさすがにショボいのと、キーボードショートカットのカスタマイズに対応していないのが玉に瑕ですが、現状Android対応のDAWではいちばん出来がいいと思う。有料で確か840円。おすすめです。

5.Canva

play.google.com

フライヤーやポップ、SNS用のヘッダー画像なんかを作るのに便利な画像作成アプリ。
上で紹介したPixlrと違って最初から日本語フォントが多数用意されているので、ちょっとしたイベント告知用のフライヤーはもっぱらこっちで作っています。
ブラウザ版もあって、Opera経由でも使えますが、内容はまったく同じです。
フォントの読み込みが遅いのと、完成したデータの書き出し時にフリーズすることがあるのがちょっと気になりますが、直感的に使える超優秀なアプリです。

気になったところ

複数タブの処理は苦手です。Operaブラウザで新しいタブを開くと、直前に見ていたタブのキャッシュをすぐに手放してしまいます。
こういうブログを書くときなんかは、リンク先のURL確認などで複数タブを開いて作業することが多々ありますが、ちょっと行って帰ってくるともう再読み込みになってる、という調子。これで作成中の記事が消えるということはいまのところないんですが、再表示されるまでワンテンポどころか10秒くらい待たされるので地味にストレスです。
タブ自体は結構たくさん開いても特に動作が重くなったりはしないので、その安定性とトレードオフなのかなとも思います。
他のブラウザを試していないので、Operaの他にいい感じのブラウザアプリがあったら教えて下さい。

総評:思った以上にアリ

Amazonが想定する本来の使いかたではなく、ブラウザをメインにした出先での軽作業用端末として購入しましたが、思った以上に快適でした。
個人的には添付処理が複雑なメールをGmailで返すとか、ちょっと腰を据えて情報整理するときのマインドマップ的な作業をGoogle Keepで行うとか、出先でちょっとしたイベント用のフライヤー画像を作るといった際に重宝しています。
WEBサービス主体なので、出先で完結できなくても自宅に戻ってメインPCから容易に作業を再開できるのもメリットですね。

もちろん、本来のメディアタブレットとしての用途でもフルに力を発揮してくれます。
画面が大きくて綺麗なので、プライムビデオやYouTubeの視聴、漫画を読む際にはかなり快適に楽しめます。低価格なChromebookは液晶が貧弱なことが多いので、持ち歩き用途でChromebookの購入を考えている方は、Fireタブレットでの代用を検討してみても良いかも知れません。

本体だけなら定価で15,980円、キーボードとケースを合わせても2万円を切るので、サブモバイル機に数万円もかけられない、でもスマホ以外に軽作業用の端末を持ち歩きたい、という人には超おすすめです。


非常にコスパが高いので、気になっていた方はこの機会に買ってしまっても良いと思います。

また、せっかくFireタブレットを使うのであれば、過剰なくらいサービスがてんこ盛りのAmazon Primeに合わせて加入するのがおすすめです。
月額換算400円程度で、消費しきれないくらいの本や音楽や動画が楽しめます。


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