どれ程の必要が。

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ZOOM『G1 FOUR』レビュー


ZOOMの小型マルチエフェクター「G1 FOUR」を購入しました。いまさらですが、ガジェット好きなギタリストはマストバイだと思います。可愛くて格好良くて最高。
実際に1ヶ月、リハーサルやライブで使用してみてのレビューです。

小さくて軽くて音が良い

本機はZOOM社が2019年に発売したモデルで、コンパクトなプラ筐体に実用的なエフェクトと機能性が詰め込まれたマルチエフェクターです。オフィシャルサイトはこちら
Amazonだとこんな価格です。

めちゃくちゃ安いですね。

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ハンズオン。第一印象はとにかく小さくて軽い。エクスプレッションペダル付きの「G1X FOUR」というモデルもあるんですが、今回は利便性よりもサイズ感を重視してペダルなしのモデルをチョイスしました。

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このペダルなしモデルの「凝縮されたコスパ感」がたまらなくいいんですよね…。
ロマンを感じます。

発売から日が経っているのでサウンド面に関してはいまさら言及するまでもないと思いますが、実際に鳴らしてみても充分実用に足るクオリティです。
前モデルのG1onと比較してモデリングの密度が高く、アンプセクションとキャビネットセクションが別々になったことからもIRデータが刷新されたことが伺えます。ラインの出音が非常にいい。
自分はここ数年、レコーディングでもライブでもライン直出しで「BIAS FX 2」を使用していますが、質感の違いこそあれど、音質自体はBIASにも迫るクオリティだと感じます。
モデリングの密度も程よくて使いやすい。いい具合にカラっとしていて、オケ馴染みが良いサウンドです。密度が高すぎると単体で聴いた時はリアルに感じますが、その分ウェットでこもりがちになるんですね。
その点ZOOMのモデリングはデフォルメがうまくて、ラインで出す時に扱いやすい印象でした。


使いやすいグローバルEQがついているのもポイント。ライブの時にとても便利です。ラインで出す場合、実質的にここをアンプのEQとして捉えると、現場に合わせて音を整えやすかったです。実際のアンプ同様、複雑な操作なしに本体のつまみのみで瞬時にセッティングに入れるのも強い。「アンプシミュレータセクションのEQで音のキャラクターを決め、キャビネットセクションのEQでハイとローの量を決め、現場のモニターに合わせてグローバルEQで補正する」という感じでしょうか。

エフェクトについても、歪み・モジュレーション・空間系いずれも使いやすさと変態性を兼ね備えた安定のクオリティです。この価格でリバースディレイが使えるとかなかなかない。
歴代機から連綿と続くボマーもきちんと入っています。あとZOOMのリングモジュレーターが超好み。これもう伝統芸能だろ。ZOOMの心意気を感じます。歪はRATのシミュレータがお気に入りです。エッジーでほどほどにバイト感のある、気持ちいい歪が作れます。チューナーも見やすくて使いやすいです。

電源周りの柔軟性が高いのも良いポイント。乾電池、アダプタに加え、USBポートからの給電でも駆動します。乾電池は単三×4本を使用。入手しやすく手軽でいい。電池を入れてもBOSSコンより軽いんじゃないか。
自分の場合モバイルバッテリーを絶対持ち歩いているので、それで動いてくれるというのもフレキシブルでいいですね。いざという時に頼りになる仕様です。

Guitar Labに対応してる

Guitar Labというのは、ZOOMの公式HPから無料でダウンロードできるエディターソフトのこと。
最近のZOOMマルチは概ねこのGuitar Labに対応しているんですが、なんと最安モデルの本機でもGuitar Labが使えてしまいます。これはちょっと凄い。

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PCと本機を繋いだ状態でGuitar Labを立ち上げてエディットしていく訳ですが、こんな感じの大画面で操作できるので、音を追い込んでいく作業が圧倒的に楽です。
BIASやGuitar Rigなど、ソフトウェアのアンプシミュレータを使ったことのある人であれば問題なくスムーズに使えると思います。
オーディオインターフェース機能はないので、出音の確認は本体のアウトプット端子から。変更内容は本体の操作子でエディットする時と同じく、リアルタイムに出音に反映されます。

マルチエフェクターを触ったことがある人は分かると思うんですが、本体のノブとボタンだけでパッチの名前をつけたり、パッチの整理をしたりって地味に大変ですよね。
ああいう作業からも解放されます。パッチのバックアップも取れるし、整理も非常に楽です。

そして何とエフェクトの追加もできてしまう。

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工場出荷時に入っているエフェクトの他に、Guitar Lab経由で入れられる追加エフェクトがあり、今後また新たなエフェクトが配信されればそれも追加できてしまいます。
こんなに安いのに拡張性まであっていいんでしょうか。コスパがエグいです。
追加だけでなく削除もできるので、使わないエフェクトは外しておいて操作性を高めるというカスタマイズもできる。
「自分だけのG1 FOUR」的な、使い込むごとにフィットしていく心地良さがあります。

前モデルより明らかに格好いい

実は本機においてもっとも評価すべきポイントはここだと思うんですが、見た目が前モデルより明らかに格好よくなっています。

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他メーカーのエントリーモデルと比べても頭ひとつ抜けている。
めちゃくちゃ安いのにまともなビジュアル。個人的に何よりもまずこの点を評価したいです。これだよ、これ!


前モデル・ZOOM G1on。
型落ちしたので値崩れしています。この価格ならこれはこれでありかも。


見た目が気に入るかどうかってすごく重要なんですね。
実は前モデルG1onが出た時、やはり中身がコスパ最高過ぎて発売直後に買ったんですが、どうしてもあのダサすぎる見た目に馴染めずに使わなくなってしまった経緯があります。
マルハチBlogさんでものすごく好意的に書かれていたので、妄信的に「これは旧ソビエト製の崇高なエフェクターなのだ…」と思いながら使っていたんですがやはりダメで、w
筐体やノブを塗り替えるとか色々考えてみたんですが、そこまでする気力もなく手放してしまいました。本当なんでG1onはあのビジュアルだったんでしょうね。他社から圧力でもかけられていたのだろうか…。

その点、本機G1 FOURはそもそもが格好いいのでもう間違いないです。
「G3nの系譜なんだな」とぱっと見でわかる外観。黒を基調とした精悍な佇まいで、筐体やノブの塗り替えを検討する必要はありません。
まあ価格相応にプラスチッキーではありますが、少なくとも実用に耐え得るビジュアルを備えています。G1onユーザーの皆さますみません…。あくまで個人の感想です。

バージョンアップ・次期モデルへの要望

①STOMPモードについて
現状は右ペダルでストンプ選択→左ペダルでエフェクトのオンオフですが、ペダルを2つとも任意のストンプのオンオフに割り当てられる機能が追加されたらうれしい。
アンシミュとコンプはかけっぱなしで、歪とディレイだけ踏めればとりあえずOKっていう状況が結構あるので。

②空間系エフェクトのTailパラメータについて
パッチ切り替えの時もTailが有効になったらうれしい 。
現時点ではSTOMPモードでのオンオフ時のみ。昔のG2とか、パッチ切り替えでもTail有効じゃなかったっけ…?(うろ覚え)

③パッチチェンジのスピードアップ
本気でライブ演奏をこなそうと思った場合、やはり「曲に合わせて作りこんだパッチをMEMORYモードで切り替えて使う」という方法になる。
現時点でも実用範囲内のパッチチェンジスピードだが、昔のG2くらい速いとうれしい。

総評:コスパお化け

こうして見てみると、改めて本機は「一台持っていて損はしないやつ」と言い切れてしまいますね。最高。価格含めて極めて万人向けのペダルです。
インスタントなアンプシミュレータと多彩なエフェクト、チューナーに加えて簡易なドラムマシンと使いやすいルーパーも付いていて、Guitar Labでの管理や機能拡張まで行える。これで実売8,000円程度とか意味がわからないレベル。
初心者の1台目としては勿論のこと、既にメインのボードをお持ちのギタリストもまずは一台買ってから用途を考えてみても遅くはないと思います。
足でエフェクト選択が出来る時点でMS-50Gより優れているので、ボードの中の「ジョーカー的なカード」として使いたい場合も断然本機がおすすめです。

ここ数年は「iPad or PC + BIAS FX」というスタイルでライブをしていましたが、オーディオインターフェースだのMIDIペダルだのあれこれ繋ぐ手間がかからず、インスタントにいい音が出せるので、当面普段のライブ現場はこれだけでOKということになりそう。良い買物をしました。

サイズ感的にマルチエフェクターというよりも、少し前に流行った「アンプモデリング・ストンプ」というカテゴリでも勝負できそうな内容ですね。
総じて、「コストパフォーマンスのお化け」みたいな1台です。超おすすめ。

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