どれ程の必要が。

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Lenovo『YOGA BOOK with Windows』レビュー


レノボの2in1タブレットPC、「YOGA BOOK with Windows」を購入しました。
独特のメカニカルなヒンジとタッチパネル式のHaloキーボードで話題となった人気モデルです。
2017年10月に購入し、2ヶ月間使ってみてのレビューと備忘録となります。
尚、ペン入力は一切使っていないため、リアルペンについてのレビューはありません。
予めご了承ください。

 「薄くて軽い」は正義

既に発売から1年以上経過している機種ですので、スペックや開封レポートは割愛します。
本機は2016年10月に発売された2in1タブレットPCです。キーボード部は取り外しできず、360度開閉する特殊なヒンジを備えたラップトップタイプのPCとなります。
そのメカニカルなヒンジや、ペンタブとしても使用できるタッチ式のHaloキーボードを備えることで久々の変態端末として話題になりましたが、自分の場合はとにかく薄型・軽量なサブノートPCを探して本機に行き着きました。

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大きさはリアルB5サイズで、ちょうど大学ノートと同じくらいのフットプリントとなります。
閉じた状態でも1cmを切る薄さで、鞄への収まりが最強に良いです。
重量も僅か690gと軽く、購入してからほぼ毎日持ち歩いていますが全く苦になりません。

このサイズと重量でフルスペックのWindowsが動くこと、新品購入価格が5万円程度と安価なことが購入の決め手となりました。

また今回は、せっかくの機動力を100%活かすべくLTEモデルを選択しています。
どこでも鞄から取り出してさっと使える取り回しの良さは、一度経験してしまうと後戻りできない便利さです。

ハード面の性能について

本機を「超薄くて軽量なノートPC」と捉えた時、Haloキーボードを除くと実はあまり特筆すべき点はありません。
CPUがAtom x5-Z8550であること、ストレージが64GBであること、拡張端子がmicro USB1基のみであることに留意して運用すれば、大きな問題は無いように思います。

外部ストレージとしてはmicroSDが使用できますが、SIMカードスロットと一体となっており、実質的に嵌め殺しです。
データの受け渡しはUSBメモリやクラウドを利用するほうが良いでしょう。
自分の場合は64GBのmicroSDを挿入し、VHD化して内部ストレージとして使っています。
SDカードの転送スピードは速くはありませんので、速度を必要としないアプリケーションやデータ類をこちらにインストール・保存しています。

「スリープしない・スリープ復帰に失敗する・スリープ復帰後にLTEを掴まない」という報告をいくつか見かけましたが、いまのところ自分の環境では特に問題ありません。
使う→しまう(ディスプレイ閉じる)→再度使う、という流れになった際、きちんとスリープしてくれています(再開時にLenovoロゴは表示されるが、PIN入力は求められず復帰する状態)。

スリープ復帰後にLTEを掴まないという現象はまれに発生していますが、アンテナピクト→携帯ネットワークのオンオフですぐに復旧します。再起動しなければいけないほどではありません。Atom搭載のWindowsタブレットとしては概ね安定しており、信頼に足る挙動です。

Atom機やWindowsタブレットが初めてという方は、この辺を参考に「完全なシャットダウン」やスリープについて下調べしてみると良いかも知れません。

バッテリー持ちは素晴らしい!の一言です。
シビアに使って8時間、あれこれ雑にフルに使っても6時間くらいは行けます。
スリープ時にも余計に漏れることなく、キッチリ待機電力を抑えてくれます。
電源の心配をせずに気軽に持ち運べるのは、本当にありがたいポイントです。

Haloキーボードについて

本機最大の特徴であるHaloキーボードはある意味予想通りで、思ったよりも遥かにまともでした。
物理キーより打ちにくいのは当たり前ですが、そもそもキーボードが無いよりは100倍マシです。
自分は元々ピュアタブレットのThinkPad 8+Bluetoothキーボードの組み合わせで使っていたため、タッチ式とは言えデフォルトでキーボードが備わっていることに大きな恩恵を感じます。

キー配列はかなりまともな6段配列で、誤入力こそ増えますがそこそこブラインドタッチも出来ます。

仕様上、ホームポジションを指先で確認することができないんですが、自分の場合はいつの間にか慣れてしまいました。どうしても無理ならシールでも貼ろうと思ってたんですが、その必要は無さそうです。

もちろんフルピッチの物理キーボードと比べると生産性は圧倒的に下がります。
通常を100とすると、だいたい60から70くらいのイメージです。
小型のBluetoothキーボードで80くらい、ソフトキーボードのみで30くらいの感覚なので、個人的には薄さ軽さとのトレードオフで全然アリな範疇でした。

一方でタッチパッドの挙動には難というか癖がありますので、注意が必要です。
キーボード入力後は誤動作防止のためタッチパッドに逐一ロックがかかる仕様になっており、このロックはタッチパッド中央の○印に触れることで解除されます。ロックをかけないように設定することは出来ません。

また右クリックと左クリックがタッチパッドの左右に分かれていること、タッチパッド内のタップ動作でドラッグが出来ないことが、使いづらさに拍車をかけています(クリックはできます)。

参考にしづらくて申し訳ないんですが、自分の場合は結局ここも慣れてしまいました。
タッチパッドのロックについてはJohn Doe氏が配布してくださっているユーティリティソフトを使ってロック解除の面積を広げることで擬似的に解決しています。
くわしくはこちらを参照ください。

128GBモデルについて

発売から1年が過ぎた本機ですが、いつの間にかひっそりと128GBモデルが発売されていました。


ストレージが128GBになったこと以外、構成に大きな変更はないようです。
また、新色の「ルビーレッド」が追加になっています。

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ThinkPadでもおなじみのカラーリングですね。ヨドバシで実機を確認してきましたが、落ち着いた赤でピーチスキンぽい手触りでした。
いまのところこの128GBモデルはレノボ直販では取扱がなく、ECサイトと量販店のみの販売となっているようです。またWindows版のみでAndroid版はありません。

旧モデルを新品で買ったばかりだったので一瞬やらかしたかなー思いましたが、ストレージが倍になって2万円の値上げという内容だったので、個人的には一安心でした。Atom機で7万円…購入時に選択肢があったとしても、費用対効果を考えると64GBモデルを選んだと思います。

Core mモデルが発売されていたらショックを受けて買い替えていたかも知れませんw

YOGA BOOKの使い途

自分の場合、「メインPCの軽量版」と位置付けて、普段使いに必要なアプリケーションを最低限の構成でインストールし、出先での作業に使っています。

・簡易録音 / デモ制作 / ライブオケ出し (CUBASE AI9)
・WEB制作 / ブログ更新 (ブラウザ)
・フライヤー制作 / 画像編集 (Photoshop CC)

既知の問題ですが、Atom機は汎用ASIOドライバとの相性が非常によくありません。
割り切ってDAW使用時は小型のオーディオインターフェースを繋いでいます。
非力なためリアルタイムの処理には向いていませんが、これで最低限の録音・再生には対応できます。

DAWと同じくらいの頻度でPhotoshopも使います。
実はWindows版を買う前にAndroid版も買ってみていたんですが、DAWはなんとかなってもPhotoshopだけは他のアプリでの代替が効かず、やむなくWindows版を買い直すに至ったという経緯があります。もちろんキビキビ動作という訳には行きませんが、やはり普段と同等の環境がモバイルで利用できるという点は大きいと感じました。

メディアプレーヤーやゲームマシン(ブラウザゲーやノベルゲーなど低スペックでOKなもの)としては、当たり前に優秀です。
タブレットモードにしたりテントモードで動画を観たりと、YOGAっぷりを存分に発揮して本当に自由自在に使えます。液晶は解像度も高くて綺麗だし、寝モバにも便利ですし、純粋にコンテンツを楽しむという点ではかなり使い勝手が良いです。

総評:「薄くて軽い」は正義

ぶっちゃけAtom機ですし、かなり攻めたハードウェアと相まって、こちらから前のめりに使い込むぞ!という意気込みがかなり必要な製品ではありますが、ひとたび馴染んでしまえば手放せなくなる便利さと可愛さがあります。軽くライフハックされた気分です。
UMPC的にはGPD Pocketが流行しているみたいですが、あちらは厚みがありますし画面サイズも7インチと小さいので、微妙に競合はしないと思います。
個人的には断然本機を推していきたいです。

次期モデルがあるなら、
 
・Core m
・RAM 8GB
・USB -Type C対応
・狭額縁化

サイズ感はこのまま、この辺りが実現すると嬉しいんじゃないでしょうか。
特に薄さがいまのままなら、倍の値段でも買い換えると思います。

総じて使い手を選ぶ機種ですが、唯一無二の魅力ある製品です。

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