どれ程の必要が。

バンドマンでモバイラなBlog

人生における名盤10選


大好きな音楽、大好きなバンド、大好きなCDっていっぱいあるのだけど
「自分の根底に根差しているもの」、
「人生のターニングポイントで鳴っていたもの」
という基準で選びました。そうしたら10選、とは書いたものの10枚も無かった…。
あくまで「自分が生きてきたストーリー上でのサウンドトラック」
という意味合いであり、所謂「音源レビュー」ではないのであしからず。

 1.BUCK-TICK「SEXY STREAM LINER」

中学2年生のある日、音楽好きの友人に突然貸し付けられて天変地異のような衝撃を受けた。
それまでゲーム音楽と歌番組で流れるヒット曲くらいしか耳にして来なかったので、一曲目の「タナトス」からいきなり全開となる凄まじいダークネスと背徳感に
「これってアリなのか??」「こういう歌を歌っても良いんだ…」
と耳も頭も塗り潰されてしまった。

この日を境にスッカリ中二病が開花した。黒い服しか着なくなり、ソレは周囲の友人たちにも伝播し、教室の壁に痛いポエムやシュールなイラスト満載の自作の新聞を勝手に掲示するに至り、「クラスの隅にいる目立たない本好きな生徒たち」を率いて「3年生を送る会」で自作の小説を原作とした劇を上演することでピークを迎えるのだが、それはまた別のお話…。

今でもやっぱり、自分にとってのBUCK-TICKの原風景はこのアルバムにある。
緻密に描かれた近未来的な夜の景色、のイメージ。
スタイリッシュなんだけど様式美とは無縁で実験的。整然と混沌。
ギタリストが2人いるのにギターが全く鳴ってない曲もあったり、ギタリストがテルミンを操りながら歌い出したり、そういう立ち位置、在り方にも少なからず影響を受けた。
ここから遡って聴いた初期作のキャッチーさ、「狂った太陽」と「殺シノ調べ」の尋常じゃないSF的厭世観にも大ハマリして、「狂った太陽」をサウンドトラックに見立てて小説を書いたり。
まだ音楽を始めていなかったので、「書くこと」が唯一の表現手段だったんだよね。

2.GUNIW TOOLS 「DAZZLE」

BUCK-TICKから入って、DAZZLE経由でグニュウを知った。
今でも古川さんの魅力って「この人、なんでこんなことになっちゃったんだろう…」というムチャクチャなシュールさにあると思ってるのだけど、表現する人、アーティストとしての立ち位置や在り方すべて、本当に衝撃的な出会いだった。

音楽的にも、良いところも悪いところも含めて、この「DAZZLE」が実は一番刺さっている。
まだ自分が何者なのか?という明確な自覚もなく、バンドを始めてすらいなかった高校生当時。
見本にしたいものが「自分で作れそうか?」という天秤に載せられるかどうか、という点が当時の自分にとってはすごく重要で、そういう意味でDAZZLEはすごく刺さった。誤解を恐れずに書いてしまうと、NIWLUNはそもそも天秤に載せられなくて、DAZZLEは「これなら」と思えてしまったんだよね。まあもちろん、そうそう簡単にはまったく行かなかったのだけど。
なのであさきさんをもの凄く尊敬しているし、復活後のグニュウツールギターヒーローしている姿を見ると涙が出てきます。弱さと強さ、潔さ。

3.幼虫社 「廃園」

高校に入りバイトしてPCを手に入れるも、当時実家にはインターネット回線がなく、フリーソフトを調達するためにPC雑誌を愛読していたのだが(たいていの雑誌はCD-ROMが付録として付いていて、大量のフリーソフトやらゲームやらが収録されていた)、そこに「マスイ」のmp3が収録されていたことがきっかけで出会った。

「自分の求める世界観、浸っていて心地よい声、好きな雰囲気」をはっきりと自覚させてくれた一枚。
厭世観、終末観、そういう要素を綺麗に体現している非常に稀有な存在だった。

メジャーなユニットではなくて、インターネットでの楽曲配信と、数年に一度のライブ活動のみのインディー活動。流通しているCDはこの一枚のみ。いま思うと早すぎた感がすごくある…。最近の「同人音楽」ってくくりで活動出来ればしっくり来たんだろうなと。

厭世的な世界観を、繊細で無国籍なエレクトロニカと透き通ったボーカルで紡ぐ。全曲すごく好きなのだけれど、終わり2曲「漂流」「船出」でごっそり精神を持って行かれる感覚が特に秀逸。気紛れに、
本当に気紛れに行われた2007年のライブを奇跡的に観られたことがいまでも心の支えになっています。

4.deadman 「no alternative

リンクは2.0ですが、無印のピンクのやつがなかったので代わりのつもりで。
高校を卒業して専門学校に通っている頃?くらいに、当時のバンドメンバーから勧められて聴いた。
眞呼様の白黒でどこまでも夜、悲惨で綺麗で宇宙的な世界観がすごく好み。
音楽的にもボーカルとギターとベースとドラムだけでこんなに表現できるんだと感動。当時肺が悪くて入院していて、その病室で毎日聴いていたんですが、手術の日に「麻酔が効いて眠るまでに好きな音楽を聴いていていいよ」と言われて、このCDをかけてもらったといういわくつきの一枚。
そのまま目覚めない可能性もゼロでは無かった訳で、その局面で「deadman」というのもまあ我ながらどうかと思うのだけど、w
それくらい好きです。

バンドや曲に関してはここで言及するまでもないよね。
個人的な思い入れ抜きにしてもこれは超名盤だと思います。


5.Voltage of Imagination 「幻想の在処は現実」

もうわりと音楽の話と遠くなってしまうんですが、心情的にも実生活的にもすごくマイナスに浸っていた時期のトラウマのようなものとピッタリと交差する、大変痛ましい作品のサウンドトラック。鬱々した気持ちをフラットに包んで肯定してくれる、優しい麻薬のようなアルバム。真冬に中央線の駅のホームで聴いた「differance」にはどれだけ救われたかわからない。
今でもなんとなく、フラットに穏やかでないときにループして聴きたくなるアルバム。

berumeiさんの音楽を知るきっかけにもなっていて、そういう意味でもかなり重要な一枚。全トラック素晴らしい出来だが、特に静謐な狂気を湛えた前述の「difference」は圧巻。薄暗い水中のようなピアノ、半ばから左右にインサートしてくるノイズ、切実でどこまでも澄んだ歌声。
こんなに不安定な曲なのに、何故か力強い。

単純にサウンドトラックとしても非常に良く出来ていて、原作の小説をきちんと消化して作られていることがよく分かる。作詞が専業の方に拠るものなんですが、原作をキッチリ汲みつつ、曲単体で切り取った時にも嫌味でない、楽曲として成立する書き方がとても秀逸。

私情も多分に込みですが、自分の中ではとても大切な一枚です。


     *  *  *


ひとまずはこんなところ。10選どころか半分しか無かったという…。
まあまた、思い出したり新たな出会いがあれば追記します。

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